平成16年港区秋季大会決勝戦 vs オール麻布

東港先発のエース阿部は、麻布の打者との対戦をずっとイメージして練習を重ねてきた。その気持ちを抑える様にマウンドを慣らすと第一球目のスイングに入った。麻布はチーム一小柄な選手を先頭バッターにし、バントの構えでゆさぶりをかける。しかし、阿部は何事も無かった様にど真ん中にストライクを投げ込み、港区秋季大会決勝戦が静かに始まった。これまでの試合、奪三振率が70パーセントを超えている阿部だが、麻布の選手達はその速球に対し鋭いスイングで対処し空振りが無い。結局、一回の表は三者凡退に押さえたが、この後のバッターとの対戦が気を抜けないことが伝わってきた。その裏、東港の攻撃、先頭の片岡がバッターボックスに入ると、ベンチから「いけいけ片岡!」の声援が今までに聞いたことが無いボリュームでこだました。その気合に押されたか、麻布エースの兵藤投手は2番古屋に四球を出してしまう。唯一の3年生先発メンバーの古屋の走塁はチームNO1。すかさず2盗、3盗を決め1アウト3塁のチャンスを得た。このチャンスに、今まで多くの試合で決勝打を打ってきた主将田中は、セオリー通りコンパクトなスイングで内野ゴロを打ち3塁から古屋を迎え入れて先取点を上げた。2回表、バッターボックスには阿部が一番意識している安西選手が立ち、強振した打球は、ライナーでセンターへ飛んだ。誰もが長打を覚悟したが、サニーズ戦でも美技を見せたセンター白石が、思い切り良く前進しランニングキャッチ。このプレイの後、セカンド左に飛んだライナーを中根がファインプレイでアウトにし、ショート古屋も大きなバウンドを鋭いダッシュで処理してアウトに仕留めた。この3連続ファインプレイで、チーム、ベンチ、応援席のボルテージが最高潮となった。2回裏、打線は下位に向かったがベンチの応援は逆に高まった。ツーアウトランナー無し、無得点の可能性が高い場面でもベンチ全員が立って、大声でバッターに声援を送っていた。3回表、阿部は四球で初めてのランナーを出してしまうが、後続を断ち無得点に抑える。3回裏、先頭8番澤柳がねばって四球を選ぶと、2盗、3盗を決める。白石も四球を選び2盗を決めてノーアウト23塁という絶好のチャンスを得た。ここで片岡がサードゴロを打ち、澤柳はホームを窺がったが、麻布サード丸山選手の見事な偽投によりタッチアウトとなり、1アウト12塁となった。しかし続く2番古屋は追い込まれながらもねばって四球を選び満塁で田中に回った。チャンスに気負った田中は当たりそこねの内野ゴロとなった。しかし、ここでダブルプレイをあせり痛恨のエラー、2塁から俊足片岡も返り2点を上げた。尚も、阿部の内野安打で満塁にすると、5番鴎端がツーナッシングに追い込まれながらも、執念で内野ゴロを打ち3点目を上げ、40とリードを広げた。4回表、四球とエラーで無死2・3塁のピンチとなったが、エース阿部がピンチにも動じない気迫の投球を見せ無得点に押さえ込んだ。その裏の東港の攻撃が終了した時点で規定に時間が過ぎ、4対0で東港が勝利し、港区秋季大会を制覇した。この結果、東港は平成10年に低学年が23区大会に出場し、11年、12年が高学年、13年が低学年、14年、15年が高学年、そして今年が低学年と7年連続23区大会出場という快挙を記録した。

皆なんでこんなに呑むのだろう?前の日だって静岡交流であれだけ呑んだのに・・・。
でも、祝勝会は何度やってもこの上無く楽しい。
この日ばかりは、監督・コーチも親達も選手達を怒らない。
だって、皆が頑張ったおかげでおいしい酒が飲めるのだから。
ダカラといって、こんなに呑むことは無いだろう。
二次会を仕切るのはだれだ!
グランパーク百代茶屋の皆さん。いつも飲み放題にして貰ってすみません。
祭り好き 酒好き DNA
國松尚武(平成10年23区大会優勝投手:現桐蔭学園高)、鈴木達也(平成13年23区大会準優勝投手:現修徳中)のDNA継承者阿部翔介。マウンドに立って投球練習を始めただけで相手ベンチを沈黙させる雰囲気。ピンチを背負っても動じず逆にバッターを威圧する強気な投球は、まさに東港豪腕DNAの成せる技。だが、これまでは一人相撲で試合を台無しにすることも多かった。せっかく討ち取ったのに、簡単な凡打をエラーする仲間が許せなかった。今年の東武杯、グリーンライオンズ戦に四球とエラーで満塁となりホームランを浴びた。自分に腹が立ち気持ちをコントロールできなくなった。しかし、チームメイトは皆エースを励ました。「俺達が打って返してやる」その言葉通り、チーム一丸となって逆転勝ちした。この試合がターニングポイントとなった。
10月10日の埠頭グランド。ナイターの光に照らされながら黙々と投げるエース。センター前の強烈なライナーを白石がランニングキャッチ。セカンド中根も横っ飛びでライナーを好捕。ショート古屋がダッシュ良くショーバンを救い上げファーストに投げる。ファースト片岡は難しい球を涼しい顔で難なくさばく。ベンチを含め野手全員が一つの球に集中していた。東港豪腕伝説はエースだけのものでは無かったのだ。國松にも鈴木にも鉄壁を誇る野手がエースを盛り立てていた。選手全員が東港豪腕伝説を作り上げてのだ。この試合はそのことを象徴する様な試合だった。ゲームセットとなった時、昨年鈴木が成し遂げた決勝戦ノーヒットノーランと同様のことを阿部が成し遂げた。まさに東港豪腕DNAが継承された瞬間だった。
東港 豪腕DNA
平成16年10月10日、港区秋季大会決勝戦という試合の意味を一番知っていたのは選手達だった。昨年3年生チームで4年生に立ち向かい港区3位を勝ち取った今のレギュラーメンバー。絶対の自信を持って臨んだ今年の港区春季大会は、昨年同様3位のままだった。ズタズタになったプライド。己の弱さを知った選手達は原点に戻って新たなスタートを切った。東港の先輩達もそうだった。残した実績だけ見れば素晴らしいが、いつも勝っていた訳ではない。しかし、東港の先輩達は、絶対負けられない試合は必ず勝ってきた。港区の大会で決勝戦での敗戦は無い。そのDNAが東港の選手達に継承されていた。ベンチは初回から9回二死満塁の時の様なテンションで燃えていた。誰かが火をつけたのではない、言葉に出さなくても全員がこの試合の意味判っていた。そしてまた、東港の伝統が継承された。

伝統として継承されるDNA